英語名は「フェンネル」
ギリシャの古名は「マラソン」
「茴香」をご存知なくても、「フェンネル」といえば、思い当たる人もいるかもしれません。茴香は英語名でフェンネル。独特の甘い香りと苦味が特徴で、スパイスやハーブとして古くから用いられています。
ギリシャの古い薬物書によると、茴香は「マラソン」と呼ばれていました。その昔、ギリシャ軍の勝利を知らせるため、マラソンからアテネまで兵士が走ったというのがマラソンの起源ですが、そのマラソン付近には茴香が咲き乱れていて、この名がついたといわれます。
茴香はセリ科の多年草で全体に芳香があり、高さ1~2メートルに生長する。
「茴香」は古来世界各地で
広く栽培され愛されていた植物
古代ローマでは強壮用の食物として剣闘士に愛用され、今もスペインでは、闘牛士が牛を倒したあと、力の象徴として茴香の花輪を頭に飾ります。
もちろん、日常的に料理などにも用いられていて、独特の香りと味で“魚のハーブ”ともいわれます。葉柄を魚の腹に詰めて蒸し焼きやオーブン焼きにすると、魚の生臭さが消え、味もよくなります。スープや煮込み料理にも使われ、生葉を刻んでサラダにも用いられます。
茴香は中国に4~5世紀頃広まり、魚などにまぶしておくと、肉の香りが回復すると伝えられ、人々の間で食べられていたと言われています。
沖縄には、島に自生する薬草を使った料理がいろいろありますが、茴香もその1つ。「イーチョーバ」とか「ウイーチョーバー」といわれます。
魚や肉料理などのにおい消しに使われるだけでなく、イーチョーバの天ぷらは沖縄の定番料理です。
並んだ巣箱の中には熟成した蜜。
その近くでは元気なミツバチが行き交う。