イギリス人を虜にした「龍眼」の香り
紅茶の代表的な銘柄として広く知られている「アールグレイ」。イタリア原産の柑橘系果実の爽やかな香りが楽しめる人気の紅茶です。
その生みの親として知られているのが、19世紀のイギリス首相・グレイ伯爵です。「アール」とは「伯爵」という意味で、まさに彼の名をとっているのです。
あるとき、グレイ伯爵は当時のイギリスで流行していた、中国から輸入された紅茶、「正山小種」をイギリスでも作ることはできないだろうかと思い立ちます。そして、試行錯誤の末生まれたのが「アールグレイ」だという説があります。
このイギリス人を虜にした「正山小種」と呼ばれる中国茶の香りこそ、「龍眼」の香りでした。
「正山小種」とは正山(武夷山)の貴重な茶木から採った茶葉で作ったお茶のことで、中国に元々あった烏龍茶から、当時のイギリスでの嗜好に合わせ、初めて「紅茶」として作られたお茶といわれ、「世界最古の紅茶」「紅茶の元祖」とも呼ばれています。
ミツバチの羽音が聞こえてくる。
樹々の根本には巣箱が並ぶ
龍眼の森が延々と続く
薬蜜本舗の龍眼ハチミツの故郷、広西チワン族自治区の南東部にある玉林市。
熱帯・亜熱帯の気候は年間を通して温暖で、ここでも龍眼の樹々は爽やかな香りを漂わせています。
蜜源のある博白県も十分な太陽の光と降雨量にも恵まれた肥沃な土地で、町全体、山全体が樹々に包まれ、龍眼の森が延々と続いています。
樹々には小さな枝に10~20個の実が房状にたわわに実り、枝から垂れ下がります。その実は2~3センチと、やや小振りです。硬い皮をむくと、いっそうの甘い香りとともに、その名の由来である龍の眼-暗褐色の種子が現れます。
花蜜はややオレンジがかった褐色、濃い目ながら、澄んだ色合いが美しく、流蜜量も豊富で、日が高く昇ると花から蜜が流れ落ちるほどです。
今が花の最盛期、
香りに包まれて龍眼の森を進む