強い生命力が宿る樹齢1000年の樹も
中国最南部に位置する広西壮族自治区・玉林市は、亜熱帯に属しており、5月~10月までが夏で、冬は2ヶ月足らずしかありません。このような気候に加え森林面積も広く、昔から農業が発達し、名産も多くつくられてきました。
茘枝も代表的な作物のひとつです。玉林市には樹齢1000年という茘枝の大樹があります。4月は茘枝の花の最盛期。南国の空気に茘枝の強い香りが混ざり合います。6月になれば、この茘枝の巨木に咲いていた花もやがて青い実となり、それが鮮やかな赤に変わるころ、広西壮族自治区の夏の盛りがやってきます。
茘枝の樹は植えてから開花するまでに5~6年はかかります。その後も生長を続け、ようやく10年後に全盛期に入るのです。さすがに樹齢1000年という樹はめったにありませんが、長く樹齢を重ねていくのも茘枝の特長です。現地では400年間生きている古い茘枝が実をつけたこともあるといわれています。樹の持つ強い生命力が感じられるエピソードです。
さらに不思議なのは、若い樹より樹齢を重ねた樹のほうが、茘枝の香りは強まるのです。長く生き抜いてきた、力強い茘枝が多いのも、薬蜜本舗のハチミツの故郷の特長です。
流蜜が豊富な時期、巣箱が所狭しと並べられる
楊貴妃が愛した甘くて香りが高い果実
茘枝の花は青白色あるいは淡黄色で春に咲きます。果実は夏に熟し、果皮は革質でこぶ型の突起があり、熟成すると暗い紫色を呈します。果肉は白色半透明で多汁の果肉があり、その中に大きい種子があります。
日本では「ライチ」の名でも知られていますが、原産地は中国の南方です。野生の茘枝が大量に成育しているところもありますが、中国における茘枝栽培の歴史は2000年余りまでさかのぼるといわれています。
約1200年前の唐の時代、玄宗皇帝の寵愛を一身に受けた楊貴妃が好んで食べたのが茘枝でした。しかし、南方原産の食べ物ですから、都である長安まで、新鮮な茘枝を運ぶのは大変だったに違いありません。
傷みやすく新鮮な茘枝の実は日本ではなかなか見ることができない