雲南の豊かな自然と伝統
広い中国の中で、今もなお自然を残し、近年ますます注 目が高まっている雲南省。そのかなりの面積を山地が占めています。この地に古くから伝わる言葉に「一山有四季、十里不同天」というものがあります。これは山の天気は変わりやすく、同じ天気は長く続かないという意味です。山地の多い雲南だけに、それぞれの山で“四季”が繰り広げられ、訪れた人は、そのめまぐるしく変わる天気に翻弄されることもあります。
雲南に古くから伝わる「雲南十八怪」という言い伝えがあります。これは「奇妙な雲南、雲南の不思議」と言うべきもので、雲南地方だけのしきたりや常識をまとめたもの。ちなみに「十八」とは、「多くの、たくさんの」という意味付けらてれいるそうです。「怪」などというと、ついつい怖い話のように思ってしまいますが、知ってしまえばいわゆる「田舎話」です。
石林に住むサニ族。
このカラフルな衣装など織物が得意。
雲貴高原に咲く貴重な苕子の花から
雲南省の南東部から、東に位置する貴州省ほぼ全域に広がっている「雲南・貴州高原(雲貴高原)」。ここは石灰岩地域であり、その石灰質が雨水により溶解・浸食された「カルスト地形」が、そびえ立つ石柱を生み出しました。
雲貴高原のほぼ中央、雲南省の省都・昆明から南東に80キロ余り、世界的にも有名な観光地である石林です。実に2億7000万年前の造山活動によって生まれたこの景色の中、そびえ立つ石の下に広がる赤茶けた土地です。栄養分も少ないこの地に、しっかりと根を張り、鮮やかな花の紫と葉の緑を見せているのが「ショウシ」です。その蜜は美しく澄んでおり、淡い琥珀色の中にわずかに青みがかかった色合いを見ることができます。その色に似て、味わいも香りも実に爽やかなハチミツです。
中国国内でも“奇景”とされる石林。
太古からの歴史を感じさせる。